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最初に、書類の入口と出口をそろえる

紙の領収書、メール添付のPDF、取引先サイトから取得する請求書では、受け取り方も保存の扱いも違います。ひとつの箱に混ぜる前に、受領方法・書式・月間件数・転記先を整理します。既存の会計ソフトやExcelに取込機能があるかも確認すると、必要な開発範囲を絞れます。

出力先の列名も先に決めます。取引先、発行日、請求番号、明細、税額、合計などのうち、何が必要かは業務ごとに異なります。発行日と支払期日を同じ「日付」欄に入れないことも大切です。

本文で使うCSVは、表の値を別のソフトへ受け渡すためのファイル形式です。OCRは、紙や画像にある文字を読み取る機能を指します。読み取りと、会計などへの登録・承認は別の工程です。

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読み取りから反映までの工程

  1. 受領・識別:元の書類に管理番号を付け、どこから届いたかを記録する。
  2. 入力候補の作成:読めない値は空欄または「要確認」にする。存在しない番号や金額を補わない。
  3. 機械的な照合:合計の不一致や、同じ請求番号の候補を確認待ちへ分ける。
  4. 人による確認:原本と候補を並べ、数値・相手先・日付を照合する。
  5. 反映・記録:承認した内容だけ転記し、元書類・修正内容・確認者を追えるようにする。

最後の転記を自動化する場合も、失敗したときの再実行で二重登録されない仕組みが必要です。連携の可否は、利用中のソフトの取込形式、契約プラン、権限などに左右されます。

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入力候補の表を、原本に戻れる形にする

読み取り結果を「正解の一覧」として保存すると、誤りがあったときにどの書類を見ればよいか分からなくなります。候補、原本、確認状態をひと組にします。次は社内の設計に使える列の例です。実際に必要な項目は、転記先の仕様と経理の運用に合わせます。

架空の記入例:書類「練習請求01」、合計候補「要確認」、理由「2ページ目に合計あり」、状態「未確認」、確認担当「経理担当A」。候補と確認済みの値を分けます。

入力候補の管理表を開く
書類管理ID/受領日/受領方法/元ファイルの保存先
取引先の候補/請求番号の候補/発行日の候補
通貨/税抜金額の候補/記載税額の候補/合計の候補
読めない箇所/合計の不一致/重複の候補
状態(未確認・差戻し・確認済み・反映済み)
修正した項目/確認者/確認日/転記先の管理ID

元ファイルの保存先は、確認者だけが必要な権限で開ける場所にします。確認状態の列を、AIが自分で「確認済み」にしてはいけません。人が確認したタイミングと、その後の反映結果を分けて残します。

製品仕様で、読めるページを先に確認する

「PDFを読み取れる」だけでは、必要な項目を全ページから拾えるとは限りません。製品仕様の例として、freee受取請求書のAI-OCRヘルプ(2026年5月15日更新、9月8日確認)では、複数ページの取引先・金額・日付は1ページ目、振込先は3ページ目までが読み取り範囲とされています。英語書類は非対応と案内されています。これは同サービスの該当機能の条件で、OCR全般の制限ではありません。

架空の試験では、合計が2ページ目だけにある請求書を用意します。採用する製品の対象範囲を確認し、必要項目が取れない場合は「要確認」として原本の2ページ目へ戻す、という完了条件を置きます。1ページ目の小計を合計として確定させないことが確認点です。OCRの設定型機能と、指示文を入力する生成AIは操作方法が異なるため、指示文だけで製品の読み取り範囲を変更できるとは考えません。

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架空の1件を、差戻しから再取込まで追う

実装する場合は、正常な1件だけで動作を判断せず、空欄、桁違い、複数ページ、再送、訂正、取込失敗を試します。各ケースで誰の確認待ちに戻るかが決まれば、作業者が迷いにくくなります。帳簿や仕訳の訂正方法は、経理責任者が決める運用に従います。

最初の完了条件は「全部読めた」ではなく、「読めないものを取りこぼさず、確認して処理を終えられた」です。確認待ち件数が増え続けるなら、対象の書式を絞るか、受領方法や画質を見直します。

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架空の請求書で、止めるべき誤りを見る

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OCRで文字にすることと、法令上の保存は別

読み取った文字をExcelへ転記できても、それだけで電子帳簿保存法上の保存要件を満たすとは限りません。紙を画像として保存する「スキャナ保存」と、電子的に受け取った取引情報の保存は、区分を分けて確認します。

国税庁は、電子帳簿保存法一問一答(令和8年7月)で両者の要件を説明しています。紙を処分してよいか、必要な保存方法・期間をどう満たすかは、導入前に経理責任者や税理士と確認してください。読み取り用に加工したファイルだけを残して、元の受領データを消す手順にはしません。

本記事は入力業務の設計例です。個別の税務判断や、特定システムの法令適合を保証するものではありません。

受領方法を、保存の担当者へ引き継ぐ

受領したもの保存について確認すること
メール添付などで受領した取引情報国税庁の電子取引Q&A問1・2を参照し、電子取引データの保存として対象と方法を確認する。
紙で受領し、スキャンした書類スキャナ保存の要件と適用条件を確認。紙の廃棄は読取成功だけで決めない。

根拠は国税庁の令和8年7月版 電子取引関係・問1/問2スキャナ保存関係・問3です。問3の紙の廃棄に関する説明には、適用時期、画像と書面の同等確認、例外への注意があります。会社の条件に沿った保存方法を先に決め、入力候補の表には受領方法と元データの場所を残してください。

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導入前に確認すること

  • 通常書式だけでなく、手書き・薄い印字・複数ページも試した。
  • 発行日、取引日、期日、通貨の列を取り違えない。
  • 読み取り失敗と重複候補を確認待ちに戻せる。
  • 原本を見られる人と、会計への反映を承認する人が決まっている。
  • 保存の要件と、入力自動化の要件を分けて確認した。
  • 仕訳の確定や振込の実行を、読み取り結果だけで進めない。

手書きが多い、明細が複雑、原本の画質が低い場合は、修正作業の方が増えることもあります。まず代表的な書類と例外で試し、読み取り率だけでなく、確認を含めた所要時間で判断します。

出典は該当箇所に記載しています(2026年9月8〜9日確認)。